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からすうりのはなとが

寺田寅彦随筆集 第三巻

寺田 寅彦

線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第三巻(からすうりのはなとが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 頁

青空文庫

試みに「鳶の羽」の巻をひもといてみる。鳶はひとしきり時雨に悩むがやがて風収まって羽づくろいする。その姿を哀れと見るのは、すなわち日本人の日常生活のあわれを一羽の鳥に投影してしばらくそれを客観する、そこに始めて俳諧が生まれるのである。旅には渡渉する川が横たわり、住には小獣の迫害がある。そうして梨を作り、墨絵をかきなぐり、めりやすを着用し、午の貝をぶうぶうと鳴らし、茣蓙に寝ね、芙蓉の散るを賞し、そうして水前寺の吸い物をすするのである。

このようにして一連句は日本人の過去、現在、未来の生きた生活の忠実なる活動写真であり、また最も優秀なるモンタージュ映画となるのである。これについてはさらに章を改めて詳しく論じてみたいと思う。

ともかくも、俳諧連句が過去においてのみならず将来においても、必然的に日本国民に独自なものであるということは、以上の不備な所説でもいくらかは了解されるであろうと思う。そうして、かのチャンバレーン氏やホワイマント氏がもう少しよく勉強してかからないうちは、いくら爪立ちしても手のとどかぬところに固有の妙味のあることも明らかになるであろうと思う。