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からすうりのはなとが
寺田寅彦随筆集 第三巻
寺田 寅彦
線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第三巻(からすうりのはなとが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 頁
次に「連作論」に引用された「病牀即事」を詠じた十首は、もう少し複雑になっている。「月」は毎句にあり、「ガラス戸」が六、「鳥かごの屋根」と「森」と「ランプ」が各二あるが、そのほかにもいろいろの景物が点綴され、ほととぎすや白雲や汽車やブリキや紙や杉木立ちやそういうものの実感が少しずつ印象され、また動作や感覚の上でもだいぶ変化が見えている。また毎句にある「月」でも一首の頭からおわりまでいろいろの位置に分配されているのに気がつく。この場合では、一つの場所の光景をいろいろな角度に見たスケッチを総合したような形式になっている。
その次に引用された十首は春秋の草花に対して自分の病の悲しみを詠じたものであるが、これには異種の植物名が八つとほかに「秋草花」という言葉が現われ、「春」の字が三、「秋」が二、そうして十首のおのおのにいろいろな形で病者の感慨が詠み込まれている。これは共通な感じを糸にしていろいろの景物を貫ぬいた念珠のような形式である。
以上は連作というものの初期の作例であるが、その後の発達の歴史がどうであったか自分はまだそれについて充分に調べてみるだけの余裕がない。