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からすうりのはなとが
寺田寅彦随筆集 第三巻
寺田 寅彦
線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第三巻(からすうりのはなとが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 頁
始めるような気がするであろう。不幸にしてこういう映画の、ことに、日本で見られるものの数があまりに少ないのは残念である。
「時間」に関する映画の世界の特異性はさらに顕著なものである。そうして映画の驚異の多分な可能性がこれに連関していることは疑いもないことである。
空間についてはわれわれはパースペクティーヴの原理によって日常ある点までは映画におけると同様な尺度の変更を体験しているのであるが、時間についてはこれに相応する経験を全然もっていないと言ってもよい。それで、もしもわれわれの身辺の現象の時間尺度がわれわれの「生理的時間」の尺度に対して少しでもちがったら、実にたいへんなことになるのである。たとえば音楽にしても聞き慣れたラルゴの曲をプレストで演奏したらもはや何人もそれが何であるかを再認することはできないであろう。またもし蓄音機の盤を正常な速度の二倍あるいは半分の速度で回転させれば単に曲のテンポが変わるのみならず、音程は一オクテーヴだけ高くあるいは低くなってしまうのである。東京市民を驚かせるような強震が二日に一度三日に一度ずつ襲って来るとしたらどうであろうか、市内の家屋構造は一変してしまい、地震研究所の官制は廃止になるであろう。