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こいずみやくものかていせいかつ
小泉八雲の家庭生活
萩原 朔太郎
線上閱讀萩原 朔太郎《小泉八雲の家庭生活(こいずみやくものかていせいかつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 16,379 字 · 33 頁
化物屋敷の一件以来、おそらくは『面白いの家』という言葉などが、一種の反語として家族中に流行し、すべての不潔の家、陰気な家などを指す代名詞になったであろう。それは結果において、一層八雲の家庭を楽しく団欒的のものにした。
しかしヘルンの奇妙な言葉を、真に完全に理解し得たものは、彼の妻より外にはなかった。そういう場合に、妻もまたヘルンさんの言葉を使って応答した。二人の仲の好い成人が、子供の片言のようなことをしゃべり合って、何時間もの長い間、笑ったり戯れたりしている風景こそ、おそらく真にフェアリイランド的であったろう。そうした夫婦の会話は女中や下僕にはもちろんのこと、子供たちにさえもよく解らなかった。『内のパパとママとは、だれにも解らない不思議な言葉でだれにも解らない神秘のことを話している』と、学校へ行ってる男の子が、自慢らしく仲間の子供に語ったほど、それは奇妙な別世界の会話であった。(子供と会話する時には、ヘルンは多く英語を用いた。)
元来人間の会話というものは、動物に比して甚だ不完全なものである。犬や小鳥やの動物は、単に鼻を嗅ぎ合うとか、尾を振り合うとか、目をちょっと見合すとかいうだけで、相互の意志が完全に疎通するのに、人間は廻りくどく長たらしい会話をして、しかもなお容易に意志を通じ得ない。