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しょうせつ えんちょう

小説 圓朝

正岡 容

線上閱讀正岡 容《小説 圓朝(しょうせつ えんちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 163,270 字 · 325 頁

青空文庫

柳枝さんも演る。

その弟子の榮枝、柏枝も演る。

左楽さんも演る。

さん馬さんも演る。

まだその他にも誰も彼も自分より十倍も二十倍も巧い人たちが、もっと達者に、もっと上手に、演っているではないか。

いくらどう馬力を掛けてみたところで、どうまあ卯辰が上がるものか。

すなわち、これがどこからかしきりと圓朝の耳許へ囁きかけてきたところの「答案」だった。

……そうか。

そうだったのか。

なるほど――なるほどその通りにちがいない。

では――では、その幾多の名人上手たちに負けないようにしていくのには、一体、どうしたらいいのか、私は。

……やることさ、誰もがまだ手がけていない新しい「路」を。

そこを切り拓いていくことさ。

第二の「声」は、つづいてこうした第二の「答案」を囁いてきた。

「おお、そうだった」

はじめて圓朝は、この答案としての自分の行く手に薄白い東雲の空のいろを感じた。

ひとすじ夜明けの朱を見た。

よし。

やろう。

やってみる。

必ずやるとも。

勢い立って心に叫んだ。

あくる日から茅町のささやかな圓朝の住居の中には、ところ狭しと唐紙のような、障子骨のような、衝立のような、屏風のようなものの、いずれも骨組ばかりのものがとっ散らかされはじめた、とんと経師屋の店先のごとくに。