輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しょうしょうしげもとのはは

少将滋幹の母

谷崎 潤一郎

線上閱讀谷崎 潤一郎《少将滋幹の母(しょうしょうしげもとのはは)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 83,234 字 · 160 頁

青空文庫

彼はその大人が平中であったことを後に至って知ったのであるが、でもその時も全然見覚えのない人ではなく、前からたび/\見かけたことのある顔であった。

「まだなんですね」

と、男は滋幹が不安そうにもじ/\している様子を見て、大凡そ察したらしく云った。それから、あたりに気をかねながら、中腰をかゞめて、耳の端へ口を寄せて、

「和子は賢いお子ですね、ほんとうに賢い/\」

と、そう云ってから、

「お母さまにお会いになるのでしたら、憚りながら、私がお願いしたいことがあるんですよ。………ねえ、和子、聴いて下さいますでしょうね」

「どんなこと?」

と、滋幹が云うと、

「あの、ちょっと、………」

と、背中の方へ手を廻して、女童たちのいる所から二三間離れた方へ連れて行って、

「お母さまに歌を差上げたいんですが、届けて下さいますか知ら」

滋幹は、自分が母に会うことは内證なのであるから、決して人にしゃべってはいけないと、讃岐や乳人に云いつけられていたので、返事に窮してためらっていると、男はしきりに、そう云う心配には及ばないこと、自分は和子の母上をよく知っているので、和子が取次をしてくれたら母上もきっと喜ばれるであろうことを、さま/″\に言葉をかえて繰り返して云い、和子はそう云っても聞き分けのよい賢いお子であると、二た言目にはそれを云い添えた。