輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
やまのじんせい
山の人生
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《山の人生(やまのじんせい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 116,022 字 · 226 頁
一旦は昔の家に還ってみたが、身内の者までが元の自分であることを知らず、怖れて騒ぐのでせん方もなく、再び山中の生活に復ってしまったというのは哀れである。
明治の末頃にも、作州那岐山の麓、日本原の広戸の滝を中心として、処々に山姫が出没するという評判が高かった。裸にして腰のまわりだけに襤褸を引き纏い、髪の毛は赤く眼は青くして光っていた。或る時も人里近くに現われ、木こりの小屋を覗いているところを見つかり、ついにそこの人夫どもに打ち殺された。しかるにそれをよく調べてみると、附近の村の女であって、ずっと以前に発狂して、家出をしてしまった者であることが分った。
女にはもちろん不平や厭世のために、山に隠れるということがない。気が狂った結果であることは、その挙動を見れば誰にでも分った。羽後と津軽の境の田代岳の麓の村でも、若い女が山へ遁げて入ろうとするのを、近隣の者が多勢追いかけて、連れて戻ろうと引き留めているうちに、えらい力を出して振り切って、走り込んでしまったという話を狩野亨吉先生から承ったことがある。
山に走り込んだという里の女が、しばしば産後の発狂であったことは、事によると非常に大切な問題の端緒かも知れぬ。