輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
やまでらのかい
山寺の怪
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《山寺の怪(やまでらのかい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,147 字 · 13 頁
そこには竹の栞戸があった。武士は渓川の縁に往くに一二度そこを出入りしていたのでかっては知っていた。武士は栞戸を開けて外に出た。そこは草や雑木の生えた小藪になっていて、すぐ右手に箱根八里の街道へ脱ける間道があって、それがだらだらとおりて土橋を渡り、前岸の山裾を上流に向ってうねうねと通じていた。武士は小藪を脱けて間道に出、それから土橋を渡って間道から岐れて左手の方へ往っている小径をあがろうとした。
そこには栗のような木の枝が眼の前に垂れていた。武士は見るともなしにそれに眼をやった。それには枝に後半身を巻きつけた鼠色の縞蛇の丈の一間位もありそうなのが半身を躍りあがるように宙に浮かしながら、武士の眼の前に鎌首をもったてて赤い舌を見せていた。武士はちょっと立ちどまった。蛇はそのまま体を放して下に落ちて篠竹の茂りに隠れて往った。そのあたりは前岸から見ると草山のようになっているが、人の背たけほどもあるような箱根名物の篠竹と樹木が絡みあっていた。武士はこんな山ではとても見はらしがきくまいと思った。武士はあがるのがおっくうになって来た。そのとき武士は踏みだした右の下駄で、枯木のようなそれで柔なぐびりとしたものを踏みつけた。