輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

やまつばき

山椿

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《山椿(やまつばき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 15,911 字 · 32 頁

青空文庫

夕餉の膳に坐ってからも、かなり酒がすすんでからも、従妹はとりとめない話をするだけで、肝心のことはまったく念頭にないようすだった、主馬は仕方なしに、「丸屋から届けて来なかったか」と訊いた。

「ええ届けてまいりました、お居間に置いてございますわ」

「持って来てごらん」

みちは立っていったが、すぐ帖紙に包んだ物を両手に抱えて戻った。届いたままあけてみもしなかったのだ、いかにもみちらしい、主馬はふと眼頭が熱くなるのを感じながら、「あけてごらん」と云った。

「なんでしょう、お衣裳ですわね」

帖紙をひらくと花の咲いたように美しい模様が出て来た。まあきれい、みちは子供のような声をあげて眼を瞠った。

「ちょっとそれを肩へ掛けてみないか」

「わたくしがですか」

みちは華やいだようすで、いそいそと立ち、その衣裳を肩へ掛けた。古代紫のぼかしに、眼もあやな百花の友禅模様が染出してある。みちは続けざまに、「まあ、まあ」と云いながら、身を捻ったり、裾をひろげたり、酔ったような顔でいつまでも見惚れていた。

「なんてきれいなんでしょう、初めてですわ、こんな美しい模様を拝見するのは、……ごらんなさいましな、この牡丹の花、まるで生きている花のようですわ、あら、これ撫子ですわね」