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さんけいにいくるひとびと
山谿に生くる人々
葉山 嘉樹
線上閱讀葉山 嘉樹《山谿に生くる人々(さんけいにいくるひとびと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 33,699 字 · 67 頁
小林の言ったように、日本海と太平洋とを結ぶ、非常な難工事が着々と進行している。
ハッパは、昼夜を分たず、天龍谿谷に木魂して、深い眠の枕を持上げる。
昨日は、手慰さみの最中に、四人の土方が連れて行かれた。
盆の休みが過ぎて、明日からはまた、レトルトのように、暑い労働が始まる。
天下の名勝と称する、天龍川畔天龍峡は、いわば天龍川が山岳地帯を、長々と突破する大谿谷のその小規模な玄関口である。
そこは、東京からか、または伊那盆地から、いきなり飛び込んで来た、観光客には、奇岩怪石の間を、天龍川が幅狭く食い込んで、流れて居るので、たしかに珍らしいに違いない。
が、それから、ふたたび足を下流に向って、延ばすならば、山はますます高く、谿谷はますます深くなることを発見するだろう。そして、しまいにはいやになっちまうだろう。
「いつまで、この両岸の山、この紆曲した濁流が、続くのだろう」
と、途中で心細くなるほど、川は山の間に、長々と沈み込んで流れている。
川舟が下り、そして曳っぱられて上がって来る。
その川舟を仕立てる場所に門島というところがある。同じ名の駅のすぐ下である。