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あらし
嵐
島崎 藤村
線上閱讀島崎 藤村《嵐(あらし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 54,007 字 · 108 頁
」と、かつて旧友の一人が私にその話をして聞かせたこともある。そこに私はおおよその見当をつけて、そんなに余分な金までも娘のために用意する必要はあるまいかと思った。太郎は違う。かずかずの心に懸ることがあの子にはある。年若い農夫としての太郎は、過ぐる年の秋の最初の経験では一人で十八俵の米を作った。自作農として一軒の農家をささえるには、さらに五六俵ほども多く作らせ、麦をも蒔かせ、高い米を売って麦をも食うような方針を執らせなければならない。私は太郎の労力を省かせるために、あの子に馬を一匹あてがった。副業としての養蚕も将来にはあの子を待っていた。それにしても太郎はまだ年も若し、結婚するまでにも至っていない。すくなくも二人もしくは二人半の働き手を要するのが普通の農家である。それを思うと、いかに言っても太郎の家では手が足りなかった。私が妹に薄くしてもと考えるのは、その金で兄の手不足を補い、どうかしてあの新しい農家を独立させたかったからで。
言い忘れたが、最初私は太郎に二反七畝ほどの田をあてがった。そこから十八俵の米が取れた。もっとも、太郎から手紙で書いてよこしたように、これは特別な農作の場合で、毎年の収穫の例にはならない。