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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

線上閱讀林 不忘《巷説享保図絵・つづれ烏羽玉(こうせつきょうほうずえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 365,120 字 · 728 頁

青空文庫

暴風雨は、つぎの日一日、江戸を去らなかった。若松屋惣七は、どこへ行くとも告げずに、あらしを冒して、駕籠で出て行った。出がけに、お高にいった。

「留守に来書があったら代わりに見ておいてくれ」

金策に出かけるであるらしいことは、お高にも察しられた。お高は、居てもたってもいられない気もちでいながら、どうすることもできなかった。

午さがりになっても、何をするでもなく、座敷の縁側に近くすわって、寒い白い雨を、ぼんやりながめてくらした。そこへ使い屋が手紙を持って来た。お高は、機械的に文箱をひらいた。きょうに限らず、若松屋惣七が他行か昼寝でもしているあいだ、お高が、手紙を代読しておくのは、珍しいことではなかった。それは、女番頭といったような、お高の役目の一部でもあった。

その手紙は、おせい様からきたものだった。古風な達筆で、こういう意味のことが書いてあった。

当方の都合があって、非常にいそいでいるから、できるだけ早く金を届けてもらいたい。それも、じぶんのほうへ届けてもらうのではなくて、日本橋の式部小路に、磯屋五兵衛という呉服太物商がある。ご存じかもしらないが、知らなくても、きげはすぐわかる。