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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

線上閱讀林 不忘《巷説享保図絵・つづれ烏羽玉(こうせつきょうほうずえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 365,120 字 · 728 頁

青空文庫

おやじは、笑いだしていた。

「それはお武家さま、御無理でございますよ」

「なぜだ」

「なぜと申して、考えてもごろうじろ。きたないものに蠅がたかりますように、お金のあるところに人が集まるのは、当節の風でございます。あなた様のようなことをおっしゃっては、江戸じゅうの人間が、みんな小判の蠅でございますよ。そのようなことは、人をおさがしなさいますうえに、ちっとも眼当てになりませんでございます」

おやじも、ひまなので、相手になっているのだが、これを聞くと、龍造寺主計はふわふわと鼻の穴から笑声を押し出して、

「なるほど。いっぽん参ったわい。貴様は、なかなか気骨があるぞ」

ひどく面白そうだ。おやじも、乗り出して来た。

「お武家さま、へっ、思いだしましたよ。ひとり、思い出しましたよ」

「そうか。思い出したか」

「思い出しましたよ――つまり、何でございましょう? ひろくお金を扱って、そのほうで、江戸のあきんど衆に顔の知れているお方、そういうお方が、御入要なんでございましょう?」

「そうだ、そうだ。そういう人物をたよって、行きたいのだ。その、貴様が思い出したというのは、名は何といい、いずくに住まっておるか」