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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

線上閱讀林 不忘《巷説享保図絵・つづれ烏羽玉(こうせつきょうほうずえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 365,120 字 · 728 頁

青空文庫

若松屋惣七に話すと、若松屋惣七は快く出してくれた。もう途を知っているので、お高は朝早く、金剛寺坂を出た。

またちょっと鬼子母神さまへお詣りして、庄之助さん方へも声をかけた。あのときはまだよく咲きそろっていなかった金雀枝が今度来てみるといっぱいに黄色い粒つぶのついた枝をたらして、まるで絵の具を点てんと落としたように、ほかのみどりのうえに浮き出ていた。

お高は、梅雨さえ越せば、もう初夏が来ることを思って、金雀枝に近づいて、花のにおいをかいでみた。金雀枝の花には、何のにおいもしないのだ。お高は、それがおかしいようにくすくす笑って、それから、その、ひとり笑いに気がついて急にまじめな顔をつくって、雑賀屋の寮の門をくぐった。

おせい様は、いそいそと迎えてくれた。思ったとおり、磯五はまだ逗留しているとのことだったが、そのときは、家にいないようすであった。おせいとお高は、すぐおせい様の居間へ行って、女同士の長ながしい挨拶を済ました。

「おことばに甘えてまた押しかけて参りましてございます」

お高がいうと、おせい様は、心からうれしそうににっこりした。

「ほんとに、そうしてお気が向いたときに、いつでもおいでになるのがようございますよ。