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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

線上閱讀林 不忘《巷説享保図絵・つづれ烏羽玉(こうせつきょうほうずえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 365,120 字 · 728 頁

青空文庫

おせい様も、お高の手の甲を一打ちたたいて、陽気に笑い出していた。二人は、涙をふきながら長いこと笑いくずれていた。

三

日本橋式部小路の磯屋の奥ざしきで、磯五が、十七、八の女を膝にのせてたわむれていた。その女は、お美代といって、奥向きの仕事をする女中であった。お美代は、出入りの鳶の頭の口ききで、草加のほうから来ている女であったが、すっかり江戸の水に洗われて、灰ぬけしてきていた。膚の白い、ぽっちゃりした、眼の涼しい娘だった。

はじめて来たとき、何であったか、何か菜をつむように台所から命じられて出て来て、中庭に迷いこんでまごまごしているところを磯五に見つかって叱られたことがあるので、磯五には、そのときから、印象に残っている女であった。

中庭は陽がよく当たらないので、露がおりたように、草がしめっていた。お美代は、磯五に叱責されて、しおしおと台所口のほうへ帰って行ったが、着物を濡らすまいとして、裾を引き上げて歩いていた。ふくらはぎのほうまで見えて、すんなりと蝋のように白い脚であった。

その夜ふけに磯五は、お美代に名ざして茶を持って来させたが、その磯五の寝部屋から、お美代は、朝になるまで帰らなかった。