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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
線上閱讀林 不忘《巷説享保図絵・つづれ烏羽玉(こうせつきょうほうずえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 365,120 字 · 728 頁
ところへ、
「お前さん、何だねえ、寝てばかりいてさ。根が生えるじゃないか。親分さんとこからお迎いだよ、すぐ顔出すようにって」
と女房のお民が、濡れ手をふきふき水口からがなり立てたので、安兵衛、悪いところでも見られたように、起き上がりこぼしみたいにむっくと立ち上がって、
「はてな、いま帰ったのに、急にまた何用だろう――?」
小首をひねったが、考えるよりは行ってみたほうが早いと気が付いたから、気と口と尻と、軽いものずくめの御免安、たちまち、
「ありゃ、ありゃ、ありゃあい!」
と威勢よく駈け出して使いよりも早く、
「ごめんやす」
とばかりに、伊呂波寿司の暖簾へとび込んで行くと――驚いた。
結城の袷に白の勝った唐桟の羽織、博田の帯に矢立てを差して、念入りに前だれまで掛けた親分の岡っ引きいろは屋文次、御用の御の字もにおわせずに、どこから見ても相当工面のいいお店者という風俗で、待遠しそうに土間の框にきちんと腰をおろしている。
「安、御苦労だがな、ちっとわれのからだを借りてえことがあるんだ」
「へえ、何でごわす?」
「なあに、半ちく仕事よ。ま、つきあってくんねえ。途々話すとしよう」