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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
線上閱讀林 不忘《巷説享保図絵・つづれ烏羽玉(こうせつきょうほうずえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 365,120 字 · 728 頁
「まあま、どうぞお気を悪くなさらないように、何ともあいすみません、へえ」
そんなような逃げ口上を用人に残して、早々に屋敷を出たのだった。
戸外に立って、門の奥を振り返りながら、文次は考える。
あれが妻恋坂の殿様か。へん、えらくにらんでいやあがったぜ。
武士が何でえ。
二本差しがこわかった日にあ鰯は食えねえんだ。ばかにするねえっ!
だがよ、だがまあ、何て眼つきをする野郎だ! ちっ、胸っくそがわるいたらありゃしねえ。
しかし、ああまでいい切る以上は受け取って隠しているものとも思われない。すると、例の鎧櫃は、いったい全たいどこへ行ったというのだ?
「おうい、親分、ひでえや」
遠くから声がする。見ると、むこうから御免安がかけて来る。
「ひでえや、親分、待ちぼけを食わせるってなあひでえや」
何がひでえのか、不平たらたら、ふだんから寸の詰まった出上がりが今は仏頂面と来ているから、何のことはない、灯のはいった河豚提燈だ、これを見ると文次、何やかや、今までのかんしゃく玉を一時に破裂させてしまった。
「安っ? どこへ行ってやがったっ?」
「へ?」
と立ちどまった安兵衛、鳩が豆鉄砲をくったようだ。