輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
線上閱讀林 不忘《巷説享保図絵・つづれ烏羽玉(こうせつきょうほうずえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 365,120 字 · 728 頁
連雀町から本所へ出るのに、ああ近くに橋があるわけはない。
これはちと変だよ――と実はあのときも思ったのだったが、思っただけで、中からはどうすることもできないし、そのうちに、狭い鎧櫃の中で窮屈に揺られているあいだに、長いこと猿ぐつわをかまされたように気がぼうとなったと見えて、どこか路ばたに車がとまっていたことや、それから、ずずっと二、三寸鎧櫃があとずさりして、頭が背後へ倒れて車が坂道へ差しかかったらしいことやなどは、今でも夢か現に覚えているが、その余のことはさながらこの櫃の中の四角い暗闇同然、女はいつしか失神していたのだった。
で、今ここで気がついたときも、まだがたびし車上におどっているように感じたが、その心持ちがしずまって、いままでのことが走馬燈のように、一瞬に女の頭を走り過ぎると、突如いいようのない新しい不安が羽がい締めのように、鎧櫃の中の女をとらえた。
鎧櫃は確かに下におりている。
が、外部の気配が、不思議にも櫃の中の女の心眼に映じて、どうもここを牛の御前のお旅所とは受け取れないのだ。
戸外ではない。なんとなく屋根の下らしい――家の中?
とすれば、いったい全体自分はどこへ、誰の家へ来たのだろう?