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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

線上閱讀林 不忘《巷説享保図絵・つづれ烏羽玉(こうせつきょうほうずえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 365,120 字 · 728 頁

青空文庫

これでたくさん。

柄へ掛けた手のやり場に困って、内藤伊織はごそごそ脇腹をかいている。

「覚えておれ」

「きっとこの返報はするからな」

せいぜいすごみを見せて、伊織と丹三、早々に引き上げて行った。

「いや、どうも悪いやつらで、一時はどうなることかと思いましたが――あ! ところで親分、女はどうしましたえ?」

閑山は文次の手を取らんばかり。が、

「爺つぁん、あんまり灰の強い悪戯はしないがいいぜ」

言い捨てて文次が立とうとすると、手早くいくらか紙に包んだ閑山、文次の手に押しつけようとしたが――、

「おら、その金を閑山のしゃっ面へたたきつけて来た」

と、もうこれはつぎの日である。

浮世小路いろは寿司の奥。

朝寝の床から手を伸ばして、こういいながら文次が煙草を吸いつけているそばに、きちんと膝っ小僧をそろえているのは、久しぶりに乾分の御免安兵衛。

金魚売りの声が横町を流れている。

風のほしい陽気だ。

「なあ安」文次は眠そうな声、「つい先ごろまで両国に人魚の見世物が出ていたなあ」

「へえ」と安兵衛おどおどしている。

「あの人魚の女は何ていったっけなあ、てめえ日参してたようだから忘れあしめえ」