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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
線上閱讀林 不忘《巷説享保図絵・つづれ烏羽玉(こうせつきょうほうずえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 365,120 字 · 728 頁
「よい、よい。往け、ゆけ。あっちへ、あっちへ、あっちへ往け」
いらいらして御近習にいっている。
脂肪肥りのしたからだのうちに、四角なだだっ広い顔が載っかって、細い眼がつり上がっている。あまりいい御面相ではない。
家来が引っ込んで行くと、
「面を上げい」
というお声がかりだ。どことなくがさがさして、構えていないだけに、邦之助なぞにも話しがしやすい。わりに気軽にことばが出て、すぐにこのころの江戸の民状へ話題が向いた。
が、貫目というものは争われない。会ったらこうもいおう、あれをああ述べてこっちの才に驚かしてやろう、なんかと考えて来たことはすっかりどこかへ消し飛んでしまって、邦之助、きかれた答えを歯から先へ押し出すだけで精一杯だ。
「死に花とか申したな、皮膚に根をおろして人を殺める花、あの件はどうなった? やはり刺客の業か」
ずけずけと持ち出してくる。邦之助はまごついた。
「さように存ぜられまする。これにつきましては手前方出入りの下賤の者に申し付けまして、着々探索の歩を進めておりまするが、何を申しますにも、その植物なるものが――」
「うむ。その探索方に当たりおる者は何と申す?」