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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

線上閱讀林 不忘《巷説享保図絵・つづれ烏羽玉(こうせつきょうほうずえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 365,120 字 · 728 頁

青空文庫

小判を上手に使えば、小判が小判を生むのだ。その男は、しっかりそこらのこつを呑みこんでいて、おせい様に、遊びながらもうけさせてきたのだ。

その男の扱い巧者で、先代の遺した雑賀屋の財産は、おせい様がふところ手をしているうちに、今じゃあもう、倍にはなっているだろうとのことだ。それも、きわだってどうしたというのでもねえ。そこここの小商人に貸しつけて、うまく金の糸を引いただけだそうだから、まあこれは人のうわさだが江戸は広いや。えらいやつがいやあがる」

めったに人をほめない磯五が、しきりと感心するのを聞きながら、お高は、それはきっとあの若松屋惣七さまであろう。若松屋様にきまっていると思った。それほど小判にかけての腕ききが、若松屋さまのほかにいようとは思えないからだ。お高は、自分がほめられているようでうれしかった。

五

ふたりは奥の居間のほうへ近づいていた。そこにはうわさのおせい様が待っているので、磯五は、そこから上がらずに、そっとお高を招いて、前の中庭を突っ切って行った。

つき当たりにお稲荷さんがまつってあった。そこらは、あまり手入れのしてない薮になっていて、ひからびたお供物などののった皿が、土といっしょにころがっていた。