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ばくまついしんかいこだん
幕末維新懐古談
高村 光雲
線上閱讀高村 光雲《幕末維新懐古談(ばくまついしんかいこだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 2,524 字 · 6 頁
一方は諏訪町、駒形方面から、一方は門跡から犇々と火の手が攻めかけて来るのだが、その間は横丁の角々は元より到る処荷物の山で、我も我もと持ち運んだ物が堆高くなっている。それを火勢に追われて逃げて来る人々は、ただ、一方の逃げ口の吾妻橋方面へと逃げ出そうと急っている。片方は大河で遮られているから、この一方口へ逃れるほかには逃げ道はなく、まるで袋の鼠といった形……振り返れば、諏訪町、黒船町は火の海となっており、並木の通りを荷物の山を越えて逃げ雷門へ来て見れば、広小路も早真赤になって火焔が渦を巻いている。雷門から観音堂の方へ逃げようとしても、危険が切迫したので雷門も戸を閉めてしまったから、いよいよ一方口になって、吾妻橋の方へ人は波を打って逃げ出し、一方は花川戸、馬道方面、一方は橋を渡って本所へと遁げて行く。その遁げる人たちは荷物の山に遮られ、右往左往している中に、片ッ端から荷の山も焼け亡せて跡は一面に火の海となるという有様……ただ、もう物凄い光景でありました。
こんな工合で、風が真西に変って不意打ちを食ったのと、大河に遮断されて逃げ道のないのとで、荷物を出した人などはない。