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へいぼん
平凡・私は懐疑派だ
二葉亭 四迷
線上閱讀二葉亭 四迷《平凡・私は懐疑派だ(へいぼん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 81,548 字 · 161 頁
直消えて又元の木阿弥になる。二掛の半襟は惜しくはないが、もう斯うなると、勢に乗せられた吾が承知せぬ。憤然となって二日二晩も考えた末、又一策を案じ出して、今度は昼のお糸さんの手隙の時に、何とか好加減な口実を設けて酒を命じた。酒を命ずればお糸さんが持って来る、お糸さんが持って来れば、些との間ならお酌もして呉れる、お糸さんのお酌で、酒を飲んで酔えば、私にだって些とは思う事も言えて打解られる。思う事を言って打解けて如何する気だったか、それは不分明だったけれども、兎に角打解たかったので、酒を命じたら、果してお糸さんが来て呉れて、思う通りになった。
「じゃ、何ですね」、と未だ一本も明けぬ中から、私は真紅になって、「貴女は一杯喰わされたのだ。」
「大喰わされ!」とお糸さんは烟管を火鉢の角でポンと叩いて、「正可女房子の有る人た思いませんでしたもの。好加減なチャラッポコを真に受けて、仙台くんだり迄引張り出されて、独身でない事が知れた時にゃ、如何様に口惜しかったでしょう。寧そ其時帰ッ了や好かったんですけど、帰って来たって、家が有るンじゃ有りませんしさ、人の厄介になって苦労する位なら、日陰者でもまだ其方が勝かと思ったもんですからね、馬鹿さねえ、貴方、言いなり次第になって半歳も然うして居たんですよ。