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へいぼん
平凡・私は懐疑派だ
二葉亭 四迷
線上閱讀二葉亭 四迷《平凡・私は懐疑派だ(へいぼん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 81,548 字 · 161 頁
また始まったと、うんざりしながら、いやそんな事僕は知らんと、ぶっきらぼうに言うけれど、文士だから人の腹なんぞは分らない。人が知らんというのに反って調子づいて、秘密の話だよ、此場限りだよと、私が十人目の聴手かも知れぬ癖に、悪念を推して、その何某が友の何某の妻と姦通している話を始める。何とかが如何とかして、掃溜の隅で如何とかしている処を、犬に吠付かれて蒼くなって逃げたとか、何とか、その醜穢なること到底筆には上せられぬ。それも唯其丈の話で、夫だから如何という事もない。君、モーパッサンの捉まえどこだね、という位が落だ。
これで最う帰るかと思うと、なかなか以て! 君ねえ、僕はねえと、また僕の事になって、其中に世間の俗物共を眼中に措かないで、一つ思う存分な所を書いて見ようと思うという様な事を饒舌って、文士で一生貧乏暮しをするのだもの、ねえ、君、責て後世にでも名を残さなきゃアと、堪らない事をいう。プスリプスリと燻るような気を吐いて、散々人を厭がらせた揚句に、僕は君に万斛の同情を寄せている、今日は一つ忠告を試みようと思う、というから、何を言うかと思うと、「君も然う所帯染みて了わずと、一つ奮発して、何か後世へ残し玉え。