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ひらがげんないとりものちょう

平賀源内捕物帳

久生 十蘭

線上閱讀久生 十蘭《平賀源内捕物帳(ひらがげんないとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 19,159 字 · 39 頁

青空文庫

「するてえと……?」

源内先生は、会心のていに頷いて、

「いかにも、その通り。……わしの見込みでは、まず鷹か鷲。……しかし、鷹にはあれほどの臂力はあるまいから、おそらく鷲だろう」

「うへえ、鳥ぐらいのことは、あっしだって考えますが、その鳥が源内櫛にばかり飛びつくというのはどういうわけです。先生、あなたの贔屓筋というところですか」

「下らんことを言うな。それは、そういう風に馴らしてあるからだ。……ものの本によると、中世紀といってな、西洋の戦国時代に、大鷲を戦争に使ったことがある。『戦鷲』といってな、もっぱら敵を悩ますために用いる。しからば、どういう方法を以って馴らすかといえば、敵方の兜やら鎧、そういうものの上に置くのでなければ絶対に餌を喰わせん。殊に、戦争の始まる前頃になると、五日七日と餌を喰わさずにおいて放すのだから、敵勢の兜や鎧を見ると、勢い猛に襲いかかって行く。つまり、それと同じ方法で馴らしたものに相違ない」

「でも、あの薄刃で斬ったような創はどうしたもんでしょう。鷲や鷹ならば、爪でグサリと掴みかかるにちがいないから、一つや二つの爪傷ではすみますまい」