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あきばしょから

平野零児随想集 らいちゃん

平野 零児

線上閱讀平野 零児《平野零児随想集 らいちゃん(あきばしょから)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,838 字 · 48 頁

青空文庫

二人とも講演はうまいくせ、嫌いだったからである。

「喰わせて置いて扨てといい……」の卑劣な手を私は敢てしたのであった。

既に福井新聞などには、「文芸講演会」の社告が堂々とのっていた。無論演題は私が勝手にきめたものである。

『歴史上の英雄について』  尾崎士郎

『釣と人生』        井伏鱒二

『井伏、尾崎の文学』    平野零児

両君はこれを見て塩パイ顔をしたが、もう嫌応なしであった。

福井の公会堂は満員で、最初吶々と語る二人の講演は、後半は立て板に水で、聴衆は酔える如くであったが、二人とも冒頭には、私に騙まされて講演に引っ張り出されたことを曝露した。私は冷や汗をかき乍ら、控え室でふと机を見ると、例の予告ののった新聞の欄に眼を落すと、思わず私は苦笑せざるを得なかった。

尾崎、井伏の二人の写真の下には、輝やかしい二人の文学歴が今更のように紹介されていたが、最後の私のくだりには「……氏は馬場孤蝶門下で、夙に知られた寡作作家である」

壇上に立った私はそこでいった。

「由来寡作作家というのは、故葛西善三のような、偉大な作家をいうので、私は寡作家というのではなく、書かざる作家であります」