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げんじゅつてんまたろう

幻術天魔太郎

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《幻術天魔太郎(げんじゅつてんまたろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 45,616 字 · 90 頁

青空文庫

「それ、さまたげがあってはならぬ。この間にはやく」

と上役人のひとりが声をかけると、さび槍をもった不浄役人がふたり、ズカズカと進みでて、はりつけ柱の左右から、アリャ、リャとかけ声もろとも、駿河太郎の胸さきに、二ほんの槍を十文字にチャリンとあわせるのです。

この二ほんの槍を引いて、こんどは駿河太郎の両わきから、ブスリとさすと、槍のほさきはブッちがいに左右の肩さきにぬけて、駿河太郎の命は一しゅんにしてたたれるのですが、

「待った、――その槍まった」

声をかけたのは、東の方の矢来のそとに、ひときわめだっていた総髪白衣の道者です。

「あッ、心外道人だッ……」

矢来のそとの群衆は、もう一度どよみをうちました。

「それ、早く、はやく」

さまたげがあると見て、役人はもいちど声をかけました。槍持の槍はサッと引かれて、ねらいさだめた駿河太郎のわきの下へ――と思ったしゅんかん、

「待てというに」

二つの礫がどこからともなくとんで、ふたりの槍持の顔をうつと、白衣の心外道人は、竹矢来をメリメリとやぶって、仕置場の中へおどりこんだのです。

「おのれ、狼藉者ッ――取っておさえろッ」

役人が立ちあがって声をふりしぼると、数十人の下役人、不浄人足、一度にどっと、白衣の心外道人をとりかこみましたが、