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ゆうれいとスクリュウ
幽霊と推進機
夢野 久作
線上閱讀夢野 久作《幽霊と推進機(ゆうれいとスクリュウ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,905 字 · 24 頁
しかし私は屁古垂れなかった。なおも二人の跡を逐うて船首の方へ行こうとすると、出会い頭に二等運転手が船橋から駈け降りて来た。見るとこれも顔の色を変えている。
「……今君の室へ……例の二人が……来たでしょう」
私は黙って二人が立ち去った舳の方向を指した。
今から考えてみるとこの時に船は、スピードをグッと落していたらしい。風に捲き落された煙が下甲板一パイに漲っていたが、その中で二等運転手が、突然に鋭い呼子笛を吹くと、待ち構えていたらしい人影がそこここから、煙を押し分けるようにして出て来た。船長、一等運転手、賄長、屈強の水夫、火夫、等々々、只、機関長だけは居なかったようである。皆、手に手にピストルだの、スパナだの、ロープの切端だのを持っていた。その十四五人が、逆風と潮飛沫の中をよろめきながら船首まで行ったのは、私が扉に鍵をかけてから三十秒と経たない中であった。
風が千切れる程、吹き募っていた。切れ切れに渦巻き飛ぶ雲の間から、満月が時々洩れ出した。その光りで船首に近い海の上に二つの死骸の袋がポッカリと並んで浮いているのが見えた。
皆はあらん限りの弾丸を撃ちかけた。