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ゆうれいせんのひみつ

幽霊船の秘密

海野 十三

線上閱讀海野 十三《幽霊船の秘密(ゆうれいせんのひみつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 30,846 字 · 62 頁

青空文庫

「おう、しっかり漕げ、日本の船乗が、こんなことぐらいで腰をぬかしてどうするのか。さあ、はやく二号艇へ漕ぎよせろ」

船長は、舷をぴしゃぴしゃ叩いて、船員たちを叱りつけた。

一号艇は、また矢のように海面を走りだした。漕ぎ手たちは、おどろきをおさえて、ひたむきに漕いだ。

「櫂やすめ」――船長の号令がかかった。

漕ぎ手たちは、はじめて左右をふりかえった。二号艇は、もう手をのばせば触れんばかりの近くにあった。彼等の眼は、電光のように早く、二号艇のうえにおちた。

「あっ。ひでえことになっていらあ」

「おお、これは一体どうしたというわけだろう?」

「あ、あんなところに千切れた腕が」

二号艇のなかのことを、どのように書きつづればいいであろうか。あまりの惨状に、書きあらわす文字を知らない。

とにかく艇内は、血しぶきで顔をそむけたいほどの惨状を呈していた。満足な身体をもった人間は、ただの一人も艇内に発見されなかったけれど、千切れた腕や脚や、そのほかたしかに人骨と思われるものが血にまみれて、艇内におびただしくちらばっていた。

「なんということだろう、この光景は?」

おちつき船長として有名な佐伯も、この思いがけない僚艇の惨状に、顔の色をうしなった。