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いくどめかのさいご

幾度目かの最期

久坂 葉子

線上閱讀久坂 葉子《幾度目かの最期(いくどめかのさいご)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 31,392 字 · 64 頁

青空文庫

別の喫茶店へはいり、少し話をはじめましたが、私の云うことにいちいち嫌味や皮肉を云うのです。私はおこっているのか、と問いました。何もおこってやしない。そしてすこぶる不機嫌なんです。私はその原因が、仕事の疲れだろうと思いこもうとしたのです。何かのことで、私の女友達の話が出ました。彼は、彼女にたよりしたんだと云いました。私ははっとしたんです。私には長い間、手紙をくれない。書く暇があるなら、どうして私へ手紙をくれないんだろう。その女友達への彼の手紙の内容が、どんなものであるにしろ、簡単なものであったにしろ、書いたということが、私の心を動揺させました。でも私は黙って居りました。彼は暫くして、忘年会へ出席するのがおくれると誰かに電話をしていました。私は、今迄の心の動揺を忘れて、彼に感謝しました。そして、駅の近くへのみに行ったのです。小母様。私はその時からのことを克明に記憶してます。でも克明に書くだけの心のゆとりをもっちゃいません。あまりにもその出来事は、今から近いところにあるんだし。でも、出来るだけ忠実にかきましょう。彼は、笑顔もみせないでのみ、私に話しかけるよりも、店の女に喋っていました。