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いくどめかのさいご
幾度目かの最期
久坂 葉子
線上閱讀久坂 葉子《幾度目かの最期(いくどめかのさいご)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 59,103 字 · 121 頁
そこを五分位西へすすみ更に右手へ折れてすすむと、やがて私はたちどまった。知らず識らずのうちにたどって来たところなのである。目の前の家は純西洋館で、奥まった建物の窓辺にばらが這うており、赤煉瓦の低い門から玄関まで石の道がついている。その両側には金魚草、トップ草、又スイートピーなどたくさんむらがり咲いている。私は窓辺のばらをもう一度みた。その時、ふっと窓に人影がちらついた。じかにではない。すりガラスを通してちらっとその白い衣をみたのだ。すぐにそれは消える。
瞬間、私は立ち去った。無茶苦茶に走った。幾つかの角をまがり、川っぷちへ出た。そしてやっと我に返った私は(これは問題だ。考えなければならない)とつぶやいた。(どういうわけであそこへ行ったのだろう。それが全く魔術にかかっていたとしても他ではないあの家へ、どうして。そして、そこで見たものは何であったのか。どうして一目散にかけ戻って来たのか。ほら、こんなに動悸がはげしいではないか。あの人影は一体、誰だったのだ。)
私は人影について、じっくり考える必要があると気付いた。そして人影の事を思い出した。
私が十六で人影が三十であった頃。