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とうせんさくしょかん

当選作所感

平林 初之輔

線上閱讀平林 初之輔《当選作所感(とうせんさくしょかん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 1,251 字 · 3 頁

青空文庫

「あやかしの皷」

「あやかしの皷」

はじめの方は、私にはそうとう読みづらかったが三分の一くらいまでくるとだんだん面白くなって、ついひきずられて読んでしまった。なかなか手にいった書きかたで、作者の並々ならぬ手腕を偲ばせるところもあるが、私は、主として不満に感じた点だけをならべる。

まず全体の筋が「あやかしの皷」につきまとう、因果ばなしめいた一連のお噺であるのが、私にはもの足りない。皷の「崇り」などは迷信だと極論するわけでもないが、迷信なら迷信で、もっと凄味と神秘の色とを濃くしてほしい。「崇り」を科学的に分析するなら、もっと徹底的に俎上にのせてメスをふるってほしかった。全体に中途半端の感じがする。現代と徳川時代とがまざりあっていて、よく融合していないといった感じだ。ちょうど、洋館の中で、椅子に腰をかけて、講釈師の浮世話をきいているようだ。最後のたたりは、ある未亡人の変態性欲で説明されているが――これとても現代式吉田御殿といった感じで、私にはぴったりこなかったが――それ以前にどんな崇りがあったのかは、田舎のおばあさんからたわいもない土地の昔話をきくようで一向たよりがなかった。