輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

いようへん

影を踏まれた女

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《影を踏まれた女(いようへん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 23,110 字 · 46 頁

青空文庫

そのうちには小歇みになるだろうと待っていたが、夜のふけるにつれていよいよ強くなるらしいので、伊四郎も思い切って出ることにした。叔母はいっそ泊って行けと言ったが、よその屋敷の厄介になるのも心苦しいのと、この風雨では自分の家のことも何だか案じられるのとで、伊四郎は断ってそこを出た。

出てみると、内で思っていたよりも更に烈しい風雨であった。とても一と通りのことでは歩かれないと覚悟して、伊四郎は足袋をぬいで、袴の股立ちを高く取って、素足になった。傘などは所詮なんの役にもたたないので、彼は手拭で頬かむりをして、片手に傘と下駄をさげた。せめて提灯だけはうまく保護して行こうと思ったのであるが、それも五、六間あるくうちに吹き消されてしまったので、彼は真っ暗な風雨のなかを北へ北へと急いで行った。

今と違って、その当時ここらは屋敷つづきであるので、どこの長屋窓もみな閉じられて、灯のひかりなどはちっとも洩れていなかった。片側は武家屋敷、片側は大川であるから、もしこの暴風雨に吹きやられて川のなかへでも滑り込んだら大変であると、伊四郎はなるべく屋敷の側に沿うて行くと、時どきに大きい屋根瓦ががらがらくずれ落ちてくるので、彼はまたおびやかされた。