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いようへん

影を踏まれた女

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《影を踏まれた女(いようへん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 23,110 字 · 46 頁

青空文庫

そんな噂が世間にきこえると、自然商売の障りにもなる。かたがたこれは自分ひとりの胸に納めておく方がいいと考えて、家内のものにも秘していた。そうして、幾年を送るうちに、自分ももう馴れてしまって、さのみ怪しまないようにもなった。

ところで、今度ここを立退くについて、家屋はむろん取毀されるのであるから、この機会に床下その他を検めてもらいたい。あるいは人間の髑髏か、金銀を入れた瓶のようなものでも現れるかも知れないと、その主人がいうのだ。成程そんなことは昔話にもよくあるから、物は試しにその床下を発掘してみようということになると、果して店の梯子の下あたりと思われるところ、その土の底から五つの小さい髑髏が現れた。但しそれは人間の骨ではない、いずれも獣の頭であることが判った。その三つは犬であったが、他の二つは狢か狸ではないかという鑑定であった。いつの時代に、何者が五つの獣の首を斬って埋めて置いたのか、又どうしてそんなことをしたのか、それらのことは永久の謎であった。

二、三の新聞では、それについていろいろの想像をかいたが、結局不得要領に終ったようだ。

三

第三は十三夜――これは明治十九年のことだ。