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しそうどういんろん

思想動員論

戸坂 潤

線上閱讀戸坂 潤《思想動員論(しそうどういんろん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,012 字 · 18 頁

青空文庫

こうなると、もはや政府の言論統制はただの統制ではない、明らかに半ばジャーナリストの自発的な言論動員なのである。自然な言論を行政的に統制しコントロールするだけではなく、一定の官製ニュースと官許ニュースとを提供することであり(それが前に言った似而非統制であるが)、それだけではなく、この積極的な統制ニュースに自発的に輪をかけた社会面記事などを載せざるを得なくなった。之は言論統制がその極に於て統制の名実を全く踏み越えて、正に言論動員の段階に這入ったことを意味する。そしてこの種の現象を、今日の俗間常識では、挙国一致だと考えているわけだ。

だが思想動員は勿論言論動員につきるのではない。所謂言論の中心と考えられる新聞紙は、思想の世界に於ては必ずしも中心に座してはいない。思想動員は文化動員と連関しないでは結局無内容で無意味なのだ。処が、之は特に記憶しておかなければならぬ点なのであるが、日本の官憲は、文化に対しては極めて無知で無見識なものであるのを特色とする。日本の官憲にとっては、ミリタリーに対するシヴィルという意義が極めて薄い。従って所謂思想統制に力を入れない内閣はないに拘らず、文化統制となると之に尤もらしい心得のある内閣は極めて乏しい。