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かいきじんぞうとう

怪奇人造島

寺島 柾史

線上閱讀寺島 柾史《怪奇人造島(かいきじんぞうとう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 頁

青空文庫

もう、凍死することはあるまい。だが、まだ怪物の背中に乗っかっているのだ。幸い、ゆうべは、怪物も、海中へ沈まずにいてくれたから、たすかったようなものの、何時、もぐり込むかわからぬ。眼が醒めて、元気づくと、こんどは、怪物の背中にいることが不安になって来た。

「それにしても、怪物は一体、何物だろう」

僕は、怪物の正体を突止めるために、背中を歩き廻った。なるほど、駆逐艦ほどもある大きさだ。歩きながら、よく見究めると、やっぱり鯨だった。大きな抹香鯨だった。しかも、鯨の奴、白いお腹を上に向けて、悠々潮流に乗っている。

僕は、ゆうべから、抹香鯨のお腹の上に眠っていたのだった。

「なアんだ。お腹の上にいたのか」

僕は、可笑しくなってひとりで笑った。が、考えてみると、鯨がお腹を上に向けて泳いでいるわけはない。僕は、やっと怪物の謎を解くことが出来た。

「ああ、そうだ。こいつは、鯨の屍骸だったのか。どうりで、僕を竜宮へ連れて往かなかったはずだ」

それがわかると、少しつまらなくなった。けれど、鯨の屍骸なら、結局安全だ。竜宮へ連れて往ってくれないかわりに、こうして漂流しているうちに、やがて、捕鯨船に発見されるだろう。