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きょうふのくちぶえ
恐怖の口笛
海野 十三
線上閱讀海野 十三《恐怖の口笛(きょうふのくちぶえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 60,713 字 · 122 頁
気がついたら、こんなところに寝ていたというのであった。
「その怪漢の顔とか、服装には記憶がありませんか」
「咄嗟の出来ごとで、何も分らないそうだ。背後から組みついたので、顔も見えないというのだよ」
そのときジュリアは目をパッチリ明いて、もう大丈夫だから、竜宮劇場の出場に間に合うよう帰りたい。西一郎を呼んでくれるようにと云った。
「ああ、西一郎。彼はどこへ行ったんです」
「一郎君が見えないネ。――」
と不審をうっているところへ、扉が明いて、彼がヌッと入って来た。
「オイ君はこの騒ぎの中、どこにいたのだい」
と課長は目を光らせていった。
「ちょっと外へ出て、畠を見ていたのです。都会人はこんなときでなければ、野菜の生えているところなんか見られませんよ」と云ったけれど、何だかわざとらしい弁解のように聞えた。
ジュリアは西の声を聞くと、一層帰りたがった。そこで西の外に検事が附添って帰ることになり、大江山課長と蝋山教授は残ることになった。丁度警察から差し廻しの自動車が来ていたので、三人は直ぐ東京へ出発することが出来た。
「どうも西という男は曲者だて」と、蝋山教授は頭を大きく左右へ振った。