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きょうふじょう

恐怖城 他5編

佐左木 俊郎

線上閱讀佐左木 俊郎《恐怖城 他5編(きょうふじょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 143,735 字 · 290 頁

青空文庫

「おいっ! 正勝くん! 鉄砲を持ってきているんだね。危ないじゃないか。弾丸は入っていないのか?」

馭者台の猟銃に気がついて、敬二郎はそう言いながら猟銃に手を出した。

瞬間! 猟銃は轟然と鳴り響いた。

「あっ!」

敬二郎は横に身を躱した。紀久子がその横腹に抱きついた。馬が驚いて跳び上がった。正勝は怪訝そうな顔をして、馭者台から振り返った。

「どどど、ど、どうしたんだ?」

敬二郎は思うように口が利けなかった。彼は歯の根が合わなかった。真っ青な顔をして木の葉のように顫えていた。

「引っ張ったんですか?」

馭者の正勝は沼のような落ち着きをもって訊いた。

「引っ張るも引っ張らないも、弾丸を込めた鉄砲を……」

「本当に危なかったわ。ほんの二、三分くらいだったわ。わたしの額のところを、弾丸がすっと通っていったの、はっきりと分かってよ」

紀久子は溜息をつくようにして、敬二郎の脇から顔を出した。

「本当に危なかったよ。ほんのちょっとのところで、いまごろは二人とも死んでるところだった」

敬二郎のうちには、まだ驚愕の顫えが尾を引いていた。

「熊が出る季節なもんだから、鉄砲を持ってないといつどんなことが……」