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きょうりゅうとう
恐竜島
海野 十三
線上閱讀海野 十三《恐竜島(きょうりゅうとう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 98,662 字 · 199 頁
船長は、望遠鏡に目をあてて、きれぎれにさけぶ。
「恐竜島に、まさか人間が住んでいるはずはない。あんなおそろしいところに、住めるわけはない。どうした火じゃろうか」
伯爵は、それが玉太郎の手ではじめられた、たき火とは知るよしもない。
だが、その玉太郎の姿が見えないのは、どうしたわけであろう。
そのわけは、大事件でも大秘密でもない。玉太郎はすっかり疲れきって、たき火のそばに、しゅろの蓆を寝床にして、ぐっすりと睡っているのだった。長々と寝ているものだから、沖合の船から望遠鏡でこっちを探しても、見えないのであった。
「閣下、どうなさる。船は引返しましょうか、それともここからボートで上陸されますか」
「もっと、この汽船を海岸へ近よせてもらいたい」
「それはだめです。いくらおっしゃっても、リーフに船底をやられてしまっては、この船はぶくぶくの外ありません。ボートで、早く下りていただきましょう。こんなおそろしいところでぐずぐずしていて、またこの前のように、恐竜のためにマストをかじられることは歓迎しませんからね」
船長は、いよいよ逃げ腰である。そうでもあろう。探険資金が少ないので、セキストン伯爵が、ねぎりにねぎって雇ったこのぼろ船のことである。