輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
あくじゅうへん
悪獣篇
泉 鏡花
線上閱讀泉 鏡花《悪獣篇(あくじゅうへん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 36,715 字 · 73 頁
」
暗い中から白い服装、麻の葉いろの巻つけ帯で、草履の音、ひた――ひた、と客を見て早や用意をしたか、蟋蟀の噛った塗盆に、朝顔茶碗の亀裂だらけ、茶渋で錆びたのを二つのせて、
「あがりまし、」
と据えて出し、腰を屈めた嫗を見よ。一筋ごとに美しく櫛の歯を入れたように、毛筋が透って、生際の揃った、柔かな、茶にやや褐を帯びた髪の色。黒き毛、白髪の塵ばかりをも交えぬを、切髪にプツリと下げた、色の白い、艶のある、細面の頤尖って、鼻筋の衝と通った、どこかに気高い処のある、年紀は誰が目も同一……である。
九
「渺々乎として、蘆じゃ。お婆さん、好景色だね。二三度来て見た処ぢゃけれど、この店の工合が可いせいか、今日は格別に広く感じる。
この海の他に、またこんな海があろうとは思えんくらいじゃ。」
と頷くように茶を一口。茶碗にかかるほど、襯衣の袖の膨らかなので、掻抱く体に茶碗を持って。
少年はうしろ向に、山を視めて、おつきあいという顔色。先生の影二尺を隔てず、窮屈そうにただもじもじ。
嫗は威儀正しく、膝のあたりまで手を垂れて、
「はい、申されまする通り、世がまだ開けませぬ泥沼の時のような蘆原でござるわや。