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せきべつ

惜別

太宰 治

線上閱讀太宰 治《惜別(せきべつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 91,984 字 · 178 頁

青空文庫

しばらく、この留学生の群と別れて生活しよう。自己嫌悪、とでもいうのであろうか、自分の同胞たちの、のほほん顔を見ると、恥かしくいまいましく、いたたまらなくなるのだ。ああ、支那の留学生がひとりもいない土地に行きたい。しばらく東京から遠く離れて、何事も忘れ、ひとりで医学の研究に出精したい。もはや躊躇している時では無い。自分は麹町区永田町の清国公使館に行き、地方の医学校へ入学の志望を述べ、やがて、この仙台医専に編入されることにきまった。東京よ、さらば。選ばれた秀才たちよ、さらば。いよいよお別れとなると、さすがに淋しかった。汽車で上野を出発して、日暮里という駅を通過し、その「日暮里」という字が、自分のその時の憂愁にぴったり合って、もう少しで落涙しそうになった。それからしばらくして水戸という駅を通過し、これは明末の義臣朱舜水先生の客死されたところ、Wandervogel の大先輩の悲壮の心事を偲び、少しく勇気を得て仙台に着いた。仙台は日本の東北で最も大きい都であると聞いていたが、来て見ると、東京の十分の一にも足りないくらいの狭い都会であった。まちの人の言葉も、まさか鴃舌というほどではなかったが、東京の人の言葉にくらべて、へんに語勢が強く、わかりにくいところが多かった。