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あいとにんしきとのしゅっぱつ
愛と認識との出発
倉田 百三
線上閱讀倉田 百三《愛と認識との出発(あいとにんしきとのしゅっぱつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 64,420 字 · 129 頁
私はまだまだライフに絶望しない。冷たい傍観者ではあり得ない。
この夏休暇以来、君と僕との友情がイズムの相異のために荒涼の相を呈せざるを得なくなるにつれて、私の頭のなかには「孤独」という文字が意味ありげに蟠っていた。私は種々の方面からこれを覗いてみた。ああ、しかし孤独という者はとうてい虚無に等しかったのである。私が一度認識という事実に想到するとき絶対的の孤独なるものは所詮成立しなかったからである。われらは認識する。表象はわれらの意識の根本事実である。表象を外にして世の中に何の確実なる者があろう。「表象無くんば自我意識無し」元良博士のこの一句のなかには深遠な造蓄が含まれている。認識には当然ある種の情緒と意欲とを伴う。これらの者の統合がすなわち自我ではないか。われらは対象界に対して主観の気息を吹きかけ、対象界もまた主観にある影響を及ぼす。かかる制約の下にありながらいかにして絶対孤独に立ち得よう。ああ認識よ! 認識よ! おまえの後ろには不思議の目を見張らしむる驚嘆と、魂をそそり揺がすほどの喜悦とが潜んでいる。
最後に私は今や蕭殺たる君と僕との友情を昔の熱と誠と愛との尊きに回さんとの切実なる願望をもって、君の利己主義に対して再考を乞わねばならない。