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らんだのかるた
懶惰の歌留多
線上閱讀太宰 治《懶惰の歌留多(らんだのかるた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,369 字 · 25 頁
へ、兵を送りてかなしかり。
戦地へ行く兵隊さんを見送って、泣いては、いけないかしら。どうしても、涙が出て出て、だめなんだ、おゆるし下さい。
と、とてもこの世は、みな地獄。
不忍の池、と或る夜ふと口をついて出て、それから、おや? 可笑しな名詞だな、と気附いた。これには、きっとこんな由来があったのだ。それにちがいない。
たしかな年代は、わからぬ。江戸の旗本の家に、冠若太郎という十七歳の少年がいた。さくらの花びらのように美しい少年であった。竹馬の友に由良小次郎という、十八歳の少年武士があった。これは、三日月のように美しい少年であった。冬の曇日、愛馬の手綱の握りかたに就いて、その作法に就いて、二人のあいだに意見の相違が生じ、争論の末、一方の少年の、にやりという片頬の薄笑いが、もう一方の少年を激怒させた。
「切る。」
「よろしい。ゆるさぬ。」決闘の約束をしてしまった。
その約束の日、由良氏は家を出ようとして、冷雨びしょびしょ。内へひきかえして、傘さして出かけた。申し合せたところは、上野の山である。途中、傘なくしてまちの家の軒下に雨宿りしている冠氏の姿を認めた。