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わがやのらくえん

我が家の楽園

久生 十蘭

線上閱讀久生 十蘭《我が家の楽園(わがやのらくえん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 90,195 字 · 175 頁

青空文庫

緋色のワンピースを着て、植木鉢を逆さにしたような、ブルトンという帽子をチョコンと頭にのせた、二十四五の、ずんぐりしたのが大将らしく、耳の下まで届くような大きな口をあいて、なにかいっては、みなをゲラゲラ笑わせている。

百々子は五分ばかり式台に立っていたが、退散しそうなようすもないので、おそるおそる声をかけてみた。

「ご用は、なんでしょう」

女達はジロリとこちらへ振り向くと、顔を見あわせて、いちどにドッと笑いだした。その笑いかたのなかに、悪意と呼ぶに足りる、あてつけがましい調子があるのに気がつくと、参ってしまって、手も足も出なくなった。

「御用は、だとさァ……アマめ、高ぶったみたいなことをいいやがる」

寝そべって煙草を喫っていた、赧っ毛の娘がそういうと、肱を立てて、こちらへ顔を向けた。

「メードさんよ、部屋へ行って、ワニちゃんにそういってくんな。横須賀から、白百合組が来ましたってな」

騒ぎを聞きつけて、賢夫人が出てきた。キッと顔をひきしめて、

「なんですか、あなた方は」

と荘重な声で叱りにかかると、女達のなかから、頓狂な野次が飛んだ。

「よォ、白デブ」

賢夫人は、相手にするに足らずといった、ツンとした顔で、上手にひっこみをつけると、脇玄関から垣のぞきをしている石田氏に、