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〈わがあいするしじんのでんき〉(ほい)

〈我が愛する詩人の伝記〉(補遺)

室生 犀星

線上閱讀室生 犀星《〈我が愛する詩人の伝記〉(補遺)(〈わがあいするしじんのでんき〉(ほい))》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,167 字 · 22 頁

青空文庫

一代の遊蕩児であり詩人であり小説家になれなかった彼は、その燦然たる履物の上をつたって、釣装束のゴム靴をはいて奥さんには黙って海べに出かけて行った。彼の孤独もそこにあるし釣魚天国もそこにあった。萩原の妹周子さんと結婚した後の日の彼は、周子夫人をつれて釣に出かけた。さぞ年来の念願がかなうて愉しかったであろうと思った。

棒きれ

わたしは棒きれといふより他に名のないものだ

なんの飾りも悪意もなく

ただ自然から力をもらつて

野山からやつて来た生木の棒きれだ

(後略)

四月

李は青と白との瞬間の花である

(後略)

鋳掛師

街道の伊達な居住者

日本の多くの鋳掛屋の群れは

都会から田舎を旅する野外の機械師である

四季の町から村々へ

日の帽子と古風な絆纒をつけ

道具箱と鍵の束を鳴らしながらさまよひ

どこの欅の木の下でも

又寂しい寺の門前でも

路上は即時に彼等の野外工場になつてしまふ

(後略)

佐藤の才華は行くところ絢爛とめどもなかった。日本のいままでの詩人であれほど豊富な形容をたくわえ、つねに鮮度を失わず、惜気もなくうたいまくった詩人は、先ず佐藤の外にはない。たとえばその二十二冊の表題は悉く新鮮であり今から見ても、よくつけた表題だと肯ずかれる。