輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
あるひ
或る日
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《或る日(あるひ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 10,119 字 · 21 頁
千代が、さしずをされずに拵えるものは、何でもない、彼女自身の大好物な味噌おじや丈だとわかったとき、さほ子は、良人の寝台の上に突伏し声を殺して笑い抜いた。
千代は、美しい眉をひそめながらぴんと小指を反せて鍋を動し、驚くほどのおじやを煮た。そして、行儀よく坐り、真面目な面持ちで鮮やかに其等を皆食べて仕舞うのであった。
「仕様がないじゃあないか、あれでは」
到頭、彼が言葉に出した。
「置けまい?」
「――だけれど、もう三十日よ」
さほ子は、良人の顔を見た。彼は目を逸し、当惑らしく耳の裏をかいた。
「けれども。――駄目なものなら早く片をつけた方がいいよ。いつ迄斯うしていたって」
隅の椅子から、彼女は怨むように云った。
「――貴方仰云って頂戴。始めからの責任があるんだから」
「出ろって?」
さほ子は合点をした。
「僕じゃあ角立つよ。お前が云った方がいい、正直に訳を云って。――已を得ないじゃあないか」
「……」
さほ子は、夜の部屋の中をぶらぶら彼方此方に歩き出した。彼は不安げな眼でそのあとをつけた。
「私、出て行けって云うのは辛いわ。ましてあの人は、やっといる処が出来たって喜んでいるんですもの」