輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

せんそうはぼくをおとなにした

戦争はぼくをおとなにした

小川 未明

線上閱讀小川 未明《戦争はぼくをおとなにした(せんそうはぼくをおとなにした)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 5,627 字 · 11 頁

青空文庫

ちょうど、丘の下は、麦ばたけでした。ふさふさした穂が、風のために、波打っていました。

「坊や、なにしてるの。」

母の背中で、目をさました、小さな弟が、頭といっしょにからだをゆり動かしているのに気づいて、清吉は、弟のほうをば、見ました。すると麦ばたけで、破れがさをかぶって手足をひろげた、鳥追いのかかしが、夜も休まずに、番をするのを、弟が、まねているのでした。

「人が、こんなに心配しているのに、坊やはわからないんだよ。」と、母は、目をふいていました。こうきくと、清吉は、なんだか弟が、かわいそうになりました。いたわってやらなければならぬと思いました。

しだいに、東の空が、黄色みをおびて、夜明けが近づいたのであります。この時分から、どこか小川のふちで鳴く、かえるの声が、高く、しげくなりはじめて、さながら、雨が降る音のように絶え間なくきこえてきました。

ひとり去り、ふたり去り、しのびやかに、立ち去る人たちがつづきました。清吉も、こうしているのが心細くなって、母親のたもとにつかまり、

「もう、帰ろうよ。」といいました。

母は、いつまでも、泣いていました。

「おまえ、帰ろうって、どこへ帰るの。