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せんそうジャーナリストろん
戦争ジャーナリスト論
戸坂 潤
線上閱讀戸坂 潤《戦争ジャーナリスト論(せんそうジャーナリストろん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 8,881 字 · 18 頁
軍の移動評なるものは、大体に於て人物論を興味の中心としたもので、或る場合には個々一二の軍人の人物批評という形をとることもあるが、之はどれを見ても似たりよったりの上っつらの人間学で、而も悪いことには多分にお世辞が利いているということだ。通というものは一体に対象に対して愛着に似た理由のない愛情を示すものらしい。だから之は必ずしも事大的であることを意味するのではないわけだが、批評としての掘開力も足りなければ公正な精神でもあるまい。
だが或る軍部移動評論家は云っている。上級軍人の経歴の研究や移動の内容は、軍の作戦と編成とを暗示する有力な材料となって来つつある。之は外国の情報機関にとって機密な情報を提供することになる。つまり之は軍の機密にぞくするものだということが、最近段々注目されるようになって来た。そこで軍部は次第に移動評論に対しても、それとなく資料其の他の関係を辿って、統制と制限とを加えるようになって来た、というのだ。して見ると、軍人の人物批評や移動の紹介さえが、社会的な角度を持つという結論にもなるのであり、こうした「お粗末な」戦争ジャーナリズムも案外決してお粗末な意味のものではなくなりつつあるわけだ、だがそれと共に、この種の評論さえが、社会的分析の自由を少しずつ失って行かざるを得ないということでもある。