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げさくざんまい

戯作三昧

芥川 竜之介

線上閱讀芥川 竜之介《戯作三昧(げさくざんまい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 20,807 字 · 42 頁

青空文庫

「第一馬琴の書くものは、ほんの筆先一点張りでげす。まるで腹には、何にもありやせん。あればまず寺子屋の師匠でも言いそうな、四書五経の講釈だけでげしょう。だからまた当世のことは、とんと御存じなしさ。それが証拠にゃ、昔のことでなけりゃ、書いたというためしはとんとげえせん。お染久松がお染久松じゃ書けねえもんだから、そら松染情史秋七草さ。こんなことは、馬琴大人の口真似をすれば、そのためしさわに多かりでげす。」

憎悪の感情は、どっちか優越の意識を持っている以上、起したくも起されない。馬琴も相手の言いぐさが癪にさわりながら、妙にその相手が憎めなかった。その代りに彼自身の軽蔑を、表白してやりたいという欲望がある。それが実行に移されなかったのは、おそらく年齢が歯止めをかけたせいであろう。

「そこへ行くと、一九や三馬はたいしたものでげす。あの手合いの書くものには天然自然の人間が出ていやす。決して小手先の器用や生かじりの学問で、でっちあげたものじゃげえせん。そこが大きに蓑笠軒隠者なんぞとは、ちがうところさ。」

馬琴の経験によると、自分の読本の悪評を聞くということは、単に不快であるばかりでなく、危険もまた少なくない。