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しんどうま
振動魔
海野 十三
線上閱讀海野 十三《振動魔(しんどうま)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 17,354 字 · 34 頁
「奥さん、今夜はどうかなすったんですか、お顔の色が、すこし良くないようですね」
「あら、そお。そんなに悪い?」
「なんともないんですか」
「そう云われると、今朝起きたときから、頭がピリピリ痛いようでしたわ。きっと、芯が疲れきっているのねえ」
「用心しないといけませんよ。今夜はなる可く早くおかえりになっておやすみなさい」
「ええ、ありがとう、秋郎さん」
そう云って、夫人はそっと額に手をやった。夫人は、巧みにも柿丘の陰謀から出た暗示に罹ってしまったのだった。
それから柿丘は、室内を一と巡り夫人を案内して廻った。最後に二人が並んで立ったのは、例の奇怪なる振動を出すという音響器の前だった。柿丘は出鱈目の実験目的を説明したうえで、右手を押釦の前に、左手を、振動を僅かの範囲に変えることの出来る装置の把手に懸けた。これは、万一計算が多少の間違いをもっていたときにも、この把手をまわすことによって振動数を変え、例の恐ろしい目的を果そうという仕組みだった。
「じゃ、ちょっと、その音響を出してみますよ。たいへん奇妙な調子の音ですが、よく耳を澄ましてきいていると、なにかこう、牧歌的な素朴な音色があるのです」